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親族間売買をした後に当事者が死亡したケース

親族間売買をした後に当事者が死亡したケース

当事者が亡くなってしまった場合の影響とは

通常の不動産売買では、売買が完了した後に当事者一方が亡くなっても、何ら影響を与えません。

これに対して、親族間売買の場合は、たとえ売買が完了した後であっても、当事者の一方が亡くなってしまうとお互いに大きな影響を受けることがあります。

今回は、親族間売買の当事者が亡くなってしまった場合に、どのような影響があるのかについて簡単に解説していきたいと思います。

当事者が亡くなることにより、影響を受けやすい親族間売買のパターン

親族間売買の中でも、特に親子間の不動産売買では当事者の死亡によって大きな影響が及ぶことになります。
その理由としては、親子ではどちらかが死亡した場合に相続が絡んでしまうからです。

相続が発生したことによって、及ぼす影響として考えられるのは主に下記の3つです。

 相続財産の問題

 当事者の地位の相続

 税金の問題   

人は亡くなると相続が開始します。
親族間売買の当事者も亡くなれば当然相続が開始するので、親族の関係性が親子や夫婦、兄弟の場合は相続についても無視することができなくなります。その中でも親子間での売買は相続が関係する可能性が極めて高いパターンと言えます。

親族間売買と相続財産の問題

親族間売買と相続財産の問題については、親族間売買の契約の内容によって問題の大きさが変わります。

例をあげて解説した方が分かりやすいので、下記のような例で解説します。

父A(売主)と長男B(買主)が親族間売買を締結
・不動産の売買価格は1000万円
・不動産の本来の価格は3000万円
・Aに他に目ぼしい財産はない
・Aが親族間売買後に亡くなり、相続人はBと次男Cの2人

上記のような例で、Aが亡くなり相続が開始すると相続人B、Cが相続する財産はありません。仮に売買代金1000万円をAが相続開始時に保有していれば、B、Cは500万円ずつ相続財産を相続します。

一方、親族間売買が仮に行われていなかったら不動産が相続財産になりますので、B、Cは3000万円の不動産を半分の割合で相続することになります。

親族間売買があるかないかで、Cの相続する財産は大きく変わってしまっています。
当然、Cは納得できませんのでB、C間でトラブルに発展してしまう可能性が大きくなります。

このように、親子間で親族間売買を行うと、相続が発生した際に相続財産が変動したことで紛争の火種になってしまうことがありますから、事前に他の兄弟にも親子間売買をする説明をしておく必要があるわけです。

 

*生前贈与・具体的相続分等は考慮していません。

当事者の地位を相続するとどうなるのか

親子間で親族間売買をし、当事者の一方、例えば親が亡くなると相続が開始し、相続人が親の権利義務の全てを相続することになります。
相続人は被相続人の地位も相続しますので、親族間売買に関与していない相続人と親族間売買の当事者である相続人が親族間売買契約の当事者となってしまいます。

 相続人が契約の責任を負う事になる

 相続人と相続人で債権債務関係になる

 


先ほどの例で解説すると、AとBで親族間売買を行っておりますので、Aの相続人である、B、CはAの契約上の地位を承継します。つまり、親族間売買に関係しないCもAが亡くなることにより、契約の当事者となってしまいます。

また、親族間売買の支払い方法が分割支払いの場合は、分割支払い債権または債務をCが相続することになりますので、CはBに対して債権者(債務者)になることになり、兄弟間で代金支払いが生じてしまいます。

このように、親子間で親族間売買を行い、当事者が亡くなると関係のない相続人を契約に巻き込むことになります。

親族間売買の内容によっては、税金の問題も

親族間売買の当事者が亡くなることによる、税金の問題については、かなり限定した事例の解説になりますが、当事者に大きな影響を与えますので触れておきたいと思います。


・売主は父 買主は1人息子
・売買代金は6000万円
・支払いは20年の分割支払い
・親族間売買を行った年に父が亡くなる
・相続人は息子1人

まず、事例を解説する前に、下記の法律上の効力について理解して頂く必要があります。

 混同・・・債権、債務が同じ人に帰属した場合は、その債権債務は原則消滅する
事例に合わせて説明すると、父に対して6000万円(分割)の借金(債務)がある息子が相続により、父の有する自分に対する債権を相続すると、債権者と債務者の両方の地位を息子が有することになり(混同)、混同により債権債務が消滅します。
自分にお金を支払う、自分にお金をもらうことになるので、意味がなくなり消滅することです(他に相続人がいれば全部が消滅することはない)。

この混同が生じるとどのような問題が起きるのか。

税金の問題が生じる恐れがあります。

上記の通り、借金は意味がなくなり、消えてしまいます。つまり息子からすると、ほとんど売買代金を支払わず、不動産を取得したことになります。
こうなると生前贈与の問題(贈与税・相続税)になる可能性があります。
今回の事例で、税金が発生しないとなると、簡単に贈与税や相続税を逃れることが出来てしまうからです。
このような事例の一番の問題点は、当事者の一方が亡くなっているため、契約の取り消し、変更が行えないために税に関して脱税目的の行為ではないかと税務署から指摘を受けると、その時点で既に取り返しのつかない事態になっていることです。

 


例えば、余命が短い父の唯一の相続人である息子に全ての財産を分割支払いにし売買すれば、混同により、実際にほとんど支払いをせず、また贈与税や相続税の税金も掛からず、父から息子へ財産の移転ができてしまいます。

まとめ

他人同士の不動産売買のケースでは、売買さえ完了してしまえば売主と買主はもう関係ありませんので、その後に相手が亡くなろうが関係のない話です。しかし、親族間での不動産売買ではそう簡単にはいきません。

親族間売買のケースでは、売買が完了した後であっても相続が開始すると面倒な事案が出てくる可能性があります。
兄弟間で仲があまりよくないのであれば、相続開始時に親族間売買の話を蒸し返されて揉め事になってしまうことがあります。
税務上の問題も含めて、相続があったとしてもトラブルが起きないような事前の対策とが必要になると思います。

当センターにご相談いただければ、相続が発生した場合も想定してアドバイスすることができますので、親族間売買をしたいとお考えでしたら、是非当センターまでご相談いただければと思います。

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