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高額(1億円以上)な親族間売買

高額(1億円以上)な親族間売買を行う注意点まとめ

記事監修:司法書士・行政書士 吉田隼哉

高額な親族間売買の注意点まとめ

 近年、不動産価格の高騰やインフレの影響を背景に、1億円を超える不動産を親族間で売買するケースが増えています。以前であれば「相続対策として検討される一部の特殊な取引」と考えられていた高額な親族間売買も、現在では首都圏を中心に珍しいものではなくなりました。

もっとも、親族間売買は金額が高くなるほどリスクも大きくなる取引です。売買価格の設定を誤れば、税務署から贈与と認定されたり、取引そのものが否認されたりする可能性もあります。また、資金の流れや契約内容、登記手続きについても、第三者間売買以上に慎重な対応が求められます。

実際に当センターでも、1億円以上の親族間売買に関するご相談が増加しており、「通常の親族間売買と同じ感覚で進めてよいのか不安」という声を多く耳にします。ここでは、高額な親族間売買を行う際に特に注意すべきポイントを、実務の視点から整理して解説します。

なぜ1億円以上の親族間売買が増加?

 近年、1億円を超える不動産の親族間売買が増えている背景には、不動産価格の上昇とインフレの進行があります。特に首都圏やその周辺エリアでは、土地と建物を合わせると一般的な戸建住宅でも簡単に1億円を超えるケースが珍しくなくなりました。以前であれば「高額資産」とされていた価格帯が、現在では現実的な取引価格になっています。

こうした価格上昇に伴い、相続対策や資産承継の一環として、生前に不動産を親族へ売却するという選択肢を取る方も増えています。特定の子に不動産を引き継がせたい、将来の相続トラブルを未然に防ぎたいといった理由から、親族間売買を検討されるケースは少なくありません。

インフレ局面における資産への考え方

 インフレ局面では「現金を持ち続けるよりも、不動産という実物資産に早めに移したい」という意識が強まる傾向があります。その結果、価格が高くなった不動産をそのまま相続で承継するのではなく、売買という形で整理しておくという判断につながることもあります。

もっとも、金額が1億円を超えると、税務署や金融機関からのチェックは格段に厳しくなります。背景事情がどうであれ、「親族間だから」という理由だけで安易に進めることはできず、高額取引ならではの注意点を十分に理解した上で進める必要があります。

高額な親族間売買で特に注意すべき5つのポイント

 一般的な価格帯の親族間売買に比べ、高価格帯の親族間売買で特に注意すべきポイントを以下にまとめました。特に⑤の譲渡所得税については、高額帯の親族間売買を行おうとする方には強く意識していただきたいポイントです。

①売買価格の設定が最重要となる

 1億円以上の親族間売買において、最も重要なのが売買価格の設定です。親族間売買では、第三者間売買と比べて価格が恣意的になりやすいため、税務署は「その価格が本当に妥当か」を厳しく確認します。

よくある誤解として、路線価や固定資産税評価額を基準に売買価格を決めれば問題ないと考えられるケースがあります。しかし、これらの評価額はあくまで税務上・行政上の指標であり、実勢価格と大きく乖離している場合には否認リスクが高まります。特に近年は、不動産価格の上昇により、評価額と実際の市場価格との差が拡大しているケースも少なくありません。

高額な親族間売買では、周辺の取引事例などを勘案し、第三者から見ても合理的と説明できる価格根拠を用意しておくことが不可欠です。

②贈与認定のリスクが高まる

 売買価格が不当に低い場合、税務署から「実質的には贈与である」と判断される可能性があります。特に1億円を超える不動産では、わずかな価格差であっても、金額ベースでは非常に大きな差になります。
仮に、時価が1億2000万円と判断された不動産を8000万円で売却した場合、その差額4000万円について贈与税が課されるリスクがあります。高額取引であるがゆえに、贈与税額も極めて高額になりやすい点には注意が必要です。

「売買代金を支払っているから大丈夫」という認識は危険であり、税務署は形式ではなく実質を見ています。価格設定の段階で贈与認定リスクを十分に検討しておく必要があります。

③資金の流れが不明確だと否認されやすい

 高額な親族間売買では、売買代金が実際にどのように支払われたのかが厳しく確認されます。売主・買主が親族である以上、「名目だけの売買ではないか」という視点で見られることを前提にしておく必要があります。

例えば、売買代金を支払った直後に、同額またはそれに近い金額が親から子へ戻っていないか、資金援助が行われていないかといった点は、税務調査で重点的にチェックされます。また、金銭消費貸借契約を併用する場合でも、その内容や返済実態が伴っていなければ、売買の実質が否定されるおそれがあります。

通帳の動き、契約内容、返済状況が一貫して説明できるかが、高額な親族間売買では非常に重要です。

④住宅ローンや融機関審査のハードル

 親族間売買では、住宅ローンが利用できない、または利用できても審査が非常に厳しくなるケースがあります。通常の売買価格ですら融資が厳しい状況であるにも関わらず、特に1億円以上の取引となると、金融機関側もさらにリスクを強く意識するため、融資否決の確立が増えてしまいます。

ただ、高額帯の親族間売買であればあるほど融資利用のないキャッシュ一括をされる割合が高くなる傾向にあるので、可能であれば現金一括払いをご検討ください。また、当センターでは分割払いの方法で親族間売買をされるお客様もおられます。

⑤譲渡所得税が高額になる可能性を理解しておく

 譲渡所得税とは、売却益に対して課税される税金ですが、1億円以上の不動産を親族間で売却する場合、譲渡所得税が想定以上に高額になるケースが少なくありません。特に、取得時よりも不動産価格が大きく上昇している場合には、売却によって多額の譲渡益が発生し、その結果、数千万円単位の税負担が生じることもあります。

親族間売買では「家族内の資産移動」という意識が先行しがちですが、税務上は通常の売買と何ら変わりません。売主側には、第三者に売却した場合と同様に、譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。

実務上も、ご相談者側が売買価格や贈与認定のリスクについては理解していたものの、譲渡所得税の金額を具体的に知った段階で、親族間売買そのものを断念するケースは決して珍しくありません。価格上昇局面では、売却益が出ること自体がリスクになることを、事前に十分認識しておく必要があります。

そのため、高額な親族間売買を検討する際には、売買を進める前の段階で、譲渡所得税を含めた全体の税負担を試算し、現実的に実行可能かどうかを冷静に検討することが不可欠です。計画が頓挫する事態を避けるためにも、早い段階での確認が重要となります。

※ご注意ください。
 当センターでは譲渡所得税のことを後から知って親族間売買そのものを断念されるご相談事例が多発しております。
譲渡所得税は、譲渡益に対して約2割(保有期間5年未満の短期譲渡では約4割)もの税金が課税されます。細かい話を抜きにして説明すると、例えば購入時3000万円だったマンションを1億円で売れば、譲渡益7000万円の2割である約1400万円が売主側の税金として課税されます。
この税金が掛かることを知らないと、そもそも親族間売買の計画が流れてしまいますから、価格が高騰したマンションや土地を売買する場合には特に注意をしてください。
当センターでは税務的な相談はお受けできませんので、お問合せ前に税理士や税務署へご相談いただくことをお勧めします。

通常の親族間売買との決定的な違い

 親族間売買というと、「身内同士の取引だから多少ラフでも問題ない」と考えられがちです。しかし、1億円以上の高額な親族間売買は、通常の親族間売買とはまったく別物と考える必要があります。

最大の違いは、第三者のチェックが格段に厳しくなる点です。税務署は高額取引ほど関心を持ち、売買価格の妥当性や資金の流れを細かく確認します。また、住宅ローンを利用する場合には、金融機関による審査も厳格になり、契約内容や評価根拠に少しでも不自然な点があれば、融資が進まないこともあります。

金額が大きくなるほど、「親族間だから」という事情は考慮されにくくなり、実質的には第三者間売買と同等、あるいはそれ以上の慎重さが求められます。通常の親族間売買と同じ感覚で進めてしまうと、後から大きな問題に発展する可能性があります。

高額な親族間売買こそ専門家の関与が欠かせない理由

 1億円以上の親族間売買では、税務、登記、不動産評価、資金計画といった複数の要素が複雑に絡み合います。どれか一つでも対応を誤ると、取引全体が否認されたり、想定外の税負担が生じたりするおそれがあります。

特に高額取引の場合、「あとから修正すればいい」という対応が通用しないケースが多くなります。売買価格の設定や契約内容、資金の流れは、取引時点での判断がすべてであり、後日になって説明を付け加えても認められないことがあります。

実際に、事前に専門家が関与していれば防げたはずのトラブルが、相談の段階では既に手遅れになっているケースも少なくありません。高額な親族間売買ほど、契約前・資金移動前の段階で専門家に相談することが最大のリスク回避策となります。

当センターでも増加している1億円超の親族間売買

 当センターでも近年、1億円を超える不動産の親族間売買に関するご相談が増えています。

高額な取引になるほど、インターネット上の一般的な情報だけでは判断が難しくなり、個別事情を踏まえた実務的な検討が必要になります。そのため、実際の売買を進める前段階で相談に来られる方が増えています。

売買価格が高くなればなるほどリスクが増加し、専門家への依頼するメリットも高まりますから、それが自然な流れだと考えます。
実際のところ、10年以上も前は1億円を超えるような依頼はほとんど無かったと記憶していますが、最近では東京都内や横浜市内の土地やタワーマンションといった取引では1億円を超えるケースが珍しくなくなってきたことが事情としてあるのだと思います。

まとめ

 1億円以上の親族間売買は、通常の不動産取引や一般的な親族間売買とは異なり、税務・資金・契約のすべてにおいて高い完成度が求められる取引です。売買価格の設定や資金の流れを誤れば、取引後に大きなリスクを抱えることになりかねません。

高額な親族間売買を成功させるためには、取引を始める前に全体像を整理し、想定されるリスクを一つずつ潰していくことが重要です。「まだ検討段階だから」と思っているタイミングこそ、最も相談価値が高い時期とも言えます。

もしこれから親族間売買を行いたいとお考えでしたら、当センターの活用をご検討いただければと思います。

※お問合せ前に譲渡所得税をご確認ください。
 ご相談時に譲渡所得税のことを知って親族間売買自体が頓挫するケースが多発しております。せっかくご相談に来られても、譲渡所得税のことを知ってやめることになっては、お客様の時間を無駄にしてしまいますので、お問合せ前にご自身で税金のことを調べてみてからお問合せいただきますようお願い申し上げます。ご協力よろしくお願いします。

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当センターの個人間売買の解決事例集

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14.過去に売買したままで名義変更していなかった場合の手続き
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17.親族間での売買だけど、第三者を間に挟みたい
18.親族間売買の支払いを融資や一括払いから、分割払いへ
19.兄弟間の売買代金支払いを担保するために抵当権を設定する
20.親子間で不動産売買をするが、何をしたらいいのか分からない
21.不動産仲介を受ける必要がなくなった個人間売買
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24.義父からマンションを購入したい
25.土地のみの親子間売買(建物は子名義)
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28.共有不動産の持分売買をする事例
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30.お隣の親族同士で土地を親族間売買をした事例
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32.相続登記と親族間売買を同時に解決した事例
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34.売買代金で住宅ローンを完済するケースの親族間売買
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55.公正証書遺言へ切り替えて解決
56.親の近所に暮らすため親所有のマンションを購入
57.親族間売買での売買価格の決め方の相談事例
58.親の介護資金のための親族間売買
59.姉の持分を買い取る親族間売買
60.区分登記された二世帯住宅の親族間売買
61.買い手が見つからない親の不動産を購入
62.遠方の老人ホームまで出張した親族間売買
63.親のマンションを分割払いで購入する親子間売買
64.兄弟3人で共有する土地を親族間売買
65.なるべく安い売買価格で親族間売買をしたい相談
66.終活として親族間売買を活用
67.同じマンションの知人から購入する個人間売買
68.母親名義の土地を長男が購入する親族間売買
69.空き家のまま放置された家を親族間売買
70.お金のない親から実家を購入する親子間売買
71.地主から借地の土地を買い取る個人間売買
72.海外転勤する兄の家を弟が購入する親族間売買
73.税理士から依頼を受けた親子間売買を解決
74.売れない不動産を子供が購入する親族間売買
75.住宅ローンが残った子供のマンションを親が買う
76.相続した実家をお隣へ売却する個人間売買
77.両親が共有のマンションを子供が購入する親族間売買
78.なるべく早く親の不動産を売却したいご相談
79.近所に住む親族の土地を購入する親族間売買
80.姉から土地持分を買い取る親族間売買
81.海外に住む兄から持分を買い取る親族間売買
82.妻の親から家を購入したい
83.手足が不自由な親族と不動産売買
84.相続税対策としてアパートの親子間売買
85.頭金+分割払いで親族間売買した事例
86.店舗付き住宅の親族間売買
87.投資用アパートを親から分割払いで購入
88.親族で共有する土地を親族間売買で1本化
89.経済状況が困窮した息子の家を親が購入する事例
90.コロナで帰国できない兄弟で不動産売買
91.親が相続で取得した土地を子供が購入する事例
92.親から贈与を受けた資金で親族間売買
93.祖父から孫がマンションを購入する
94.遠方の叔母と親族間売買をした事例
95.売買契約に権利証を忘れてしまった事例
96.結婚する娘のマンションを親が購入する事例
97.自営業者が親族から不動産を分割払いで購入
98.夫婦間で投資用マンションの売買
99.妻が代わりにローン返済したため夫婦間売買

当事務所のメディア・執筆実績

・雑誌「プレジデント」2020.12.18号
・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
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・雑誌「AERA」2017.1.23号  他

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「ネットが普及した近年、個人での不動産売買は今後増加し、それに対応することができる専門家の必要性も増えていくはずです。個人間・親族間のことなら当センターへお任せください!」
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・司法書士よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつばの元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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