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夫婦間売買を使って夫名義の住宅ローンを完済

更新日:2021/8/24

妻が夫の住宅ローンを払うための夫婦間売買

記事監修:司法書士・行政書士 吉田隼哉

夫の住宅ローンを妻が立て替えるため

 不動産を購入する場合、夫の単独名義(所有権・住宅ローン)にすることがあります。
妻がパートで年収が低かったり、専業主婦の場合には、夫だけで購入することはよくある話だと思います。

こういったケースの場合、妻が夫の住宅ローンを一括して立て替えること(代わりに支払う)はできないのでしょうか?

妻が住宅ローンを立て替えて支払う理由

 妻に大きな金額が入ってきた場合に、夫が組んだ住宅ローンを完済したいと考える方は結構多いです。
多くの場合は、このケースだと思います。

「妻の親族で相続が発生し、妻にまとまったお金が入ってきた場合」

人生でまとまったお金が入ってくるタイミングは限られています。
宝くじで大当たりする人は皆無でしょうから、最も可能性が高いのは「相続」です。
相続が発生することで、大きな金額が手元に入ってきて、住宅ローンの完済を検討するのが一般的です。

夫婦間でも贈与税が発生する

 夫婦間における日常生活で必要な金銭のやりとりについては、贈与税が課税されることはありませんが、それを超えるような金銭の授受があると夫婦間の金銭移転でも贈与税が課税される可能性があります。

例えば、夫名義で組んでいた住宅ローンを妻が立て替えて支払った場合には、その立て替えた分の金銭贈与がなされたと税務署は考えますので、そこに贈与税が課税されることになります。

贈与税は非常に高額なので、課税には十分に気をつけなければいけません。
念のため、贈与税の税率の表を掲載しておきます。

夫婦間における贈与税の税率

 夫婦間における贈与税の税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

 例えば、妻から夫へ1000万円を贈与した場合、基礎控除額110万円を引いた890万円に対して贈与税がかかります。表にあてはめると以下のようになります。
890万円×40%-125万円=231万円

夫婦間の1000万円の贈与だと231万円の贈与税が発生します。

妻が夫の不動産を買い取る形にして金銭移転

 単に、何も考えずに妻が夫の住宅ローンを立て替えて支払ってしまうと、その金額分の贈与税が発生してしまうことになります。
(例えば、3000万円の住宅ローンを妻が立て替えた場合には、1250万円の贈与税が夫に発生します)

高額な贈与税の発生は絶対に回避しなければいけませんので、以下の方法を使います。

妻が夫の不動産を購入する夫婦間売買

 夫名義の不動産を妻が購入する形にして、金銭移転を行うようにします。
あくまでも贈与ではなく「売買代金として」妻が夫に金銭を支払うようにするわけです。
そうすれば、税務上は贈与税ではなく、売買における税金で処理されますので、高額な税金の発生は回避することができます。

なお、売買の場合には売主側に譲渡所得税が発生する可能性がありますので、譲渡所得税を試算したうえで売買を行うようにしてください。ただし、夫婦間売買の場合には、購入時よりも金額を抑えて売買するはずなので、そこまで譲渡所得税を心配する必要なないものと思われます。

夫婦間売買における価格の決め方

 住宅ローンの残債を完済する目的のみであれば、その残債をそのまま売買価格にすれば問題ありません。
例えば、残債が2000万円であれば売買価格を2000万円にすればいいです。

ただし、残債と売買価格を合わせることで、以下の問題が生じます。

残債額=不動産の適正価格とは限らない

 住宅ローンの残債額が不動産の適正価格と同じ(イコール)は限りませんので、残債が2000万円としても不動産の評価はもっと高いということもありえます。

その場合、支払う残債額分の所有権一部移転を使っていきます。
例えば、夫の残債が2000万円で、不動産の適正価格が3000万円のケースだと、2000万円で不動産全体の所有権を移転してしまうと、今度は妻側に1000万円分の贈与税が課税されてしまいます(適正価格との差額が贈与とみなされる)。

そこで、所有権全体ではなく、不動産の一部を売買の対象とする「所有権一部移転」の方法で名義の一部を移転します。
前述したケースなら、3000万円のうち2000万円で妻が購入するわけですから、3分の2の売買(所有権一部移転)として夫婦間売買を行います。

つまり、最終的には、夫3分の1・妻3分の2の共有状態が生まれることになります。

残債を完済することで抵当権抹消登記も必要

 残債を全て完済することになれば、抵当権抹消登記も必要となります。

抵当権抹消は、借入先の金融機関から抵当権の「抹消書類」を発行してもらい、司法書士に依頼をして管轄法務局へ登記をします。
銀行側の司法書士へ依頼をすることも可能ですが、夫婦間売買に伴って抵当権抹消登記が必要な場合には、当センターの司法書士があわせて対応させていただきますので、ご安心ください。余計な手間は発生しませんし、合わせてご依頼をいただくことで費用の節約に繋がります。

妻が夫の住宅ローンを立て替える注意点

 この記事は、「妻にまとまったお金が入ってきて一括完済する場合」を想定してお話しています。妻が立て替えたことで残債を全て完済できないケースでは、この記事に書かれているような夫婦間売買の方法は利用できませんのでご注意ください。

また、不動産名義を変更するということは、税金のことも注意をしなければいけません。特に夫婦間における財産移転には、税務署もよく見ていますから、専門家を介さないで売買をするにはリスクが大きいです。

まとめ

 本記事は、「妻に入ってきた遺産で夫名義の住宅ローンを完済する」といったかなり限定的な事例を取り上げていますが、わざわざ記事にしているのには理由があります。

その理由とは、そのような相談ケースが非常に多いからです。
もしこのページで書かれているような夫婦間売買を考えているなら、是非一度当センターまでご相談ください。
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この記事の監修者 / 司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表司法書士 吉田隼哉

大手不動産会社で勤務後、不動産系3大国家資格である宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理士を取得。司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所を開業し、相続・遺言・個人間売買の三本柱で業務展開。ご依頼者に対しての総合的なサポートを目指す。

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