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更新日:2022/5/20
記事監修:司法書士・行政書士 吉田隼哉
親族間売買の失敗
親族間売買と言っても、法律上は他人同士の不動産売買契約と変わりはありません。しかし、親族間売買ならではの特有の論点が存在し、その問題を何も考えずに進めてしまうことで失敗してしまうことがあります。
同じ「売買」とはいえ、普通の他人間同士の不動産売買とは区別が必要な親族間売買。
他人と売買する場合と全く同じものだと考えて進めてしまうと途中で問題が起きてしまうこともあります。
また、何度も解説していますが、親族間売買では当事者が親族同士になるため、売買契約後もその売買が親族に影響を与えることがあることも忘れてはいけません。
今回は、親族間売買の代表的な失敗例を解説したいと思います。
親族間売買は、普通の他人同士の不動産売買と同じに考えてはいけません。
親族間売買を行ったことによる特有の失敗例は、主に以下の5つです。
①売買契約前の準備段階での失敗
②住宅ローンを完済せず売買してしまった
③分割支払いで生じる債務の不履行
④当事者が亡くなることによる相続の問題
⑤契約後に生じる税金のリスク
親族間売買の契約締結前の話しになりますが、親族間売買特有の問題として融資が通らないことが親族間売買にはあります。
融資前提の親族間売買を計画している場合は、まずは融資先があるのかどうかを確認してから親族間売買の話しを進めないと、必ず融資で躓きます。
他の記事(関連記事:親族間売買を行う前の心得)でも解説していますが、親族間売買で住宅ローンが利用できる可能性は極めて低く、仮に融資を受けられても住宅ローンではなく、無担保ローンや投資用に融資になり、金利が現実的な数字ではありません。
住宅ローンを完済していない不動産については、融資を受けている金融機関との契約で、その不動産の譲渡(売買)が禁止されています。これに違反して不動産の譲渡を行うと、住宅ローンの一括返済を求められる可能性が出てきます。
このことを知らずに親族間売買をしてしまうことは大きな失敗だといえます。(関連記事:親族間売買は住宅ローンが残っていてもできる?)
親族間売買の売買代金で一括返済が可能な場合は、まず一括返済の申し込みをして、親族間売買と完済を同時に進めていくことが必要です。
売買代金では完済が出来ない場合、または売買代金の支払い方法が分割で完済ができない場合は、もう一度親族間売買を行うかどうかの再検討をお勧めします。一度、手続きを進めてしまうと取り返しがつかなくなるためです。
親族間売買では、住宅ローンの利用が極めて難しいですが、売買代金を現金一括で支払える方は、そう多くはありません。現金一括で支払えない場合は、売買代金を分割支払いで支払うことにより親族間売買を進めることができます。しかし、分割払いの支払い方法には、大きなリスクもあります。
住宅ローンの場合は、売買代金を金融機関から借り、売主やハウスメーカー等に代金を支払います。仮に支払い不能になれば、金融機関は抵当権を実行し、不動産は競売され、競売で競り落とされた代金から返済を受けます。
これが親族間売買での分割支払いの場合は、親族間売買で債権債務者の関係になり、支払いが滞ると、それだけ親族間の関係性を壊します。それは売主と買主だけの信頼破壊に留まらず、周りの親族にも影響を及ぼすこともありえます。
金融機関は第三者ですので、感情なしに返済を求めてきますが、親族間ですと、どこまでしっかり契約を履行できるのかに疑問符が付きます。親族間だからと気軽に分割支払いにすると、後々トラブルになる可能性が高くなってしまいます。
別の記事(≫親族間売買をした後に当事者が死亡したケース)でも解説しましたが、親族間売買は当事者が親族になるため、相続が発生すると、当事者に承継が生じて様々な問題が生じます。
親族間売買と相続の問題は多くの方が見落としがちで、またその問題が顕在化した時は既に取り返しがつかない場合が多く、残された親族に多大な影響を与えます。
親族間売買を行う上で意識していただきたい税金は、「贈与税」と「譲渡所得税」です。
親族間売買の問題で、一番気になるのが贈与税の問題ではないでしょうか。当センターにご相談にいらっしゃる方の多くが贈与税の問題を認識されています。(関連記事:親族間売買とみなし贈与)
親族間売買と贈与税について少しでも不安がある場合は、必ず税理士への相談をお勧めします。贈与税の失敗は取り返しがつきませんので、親族間売買を進める前に対策が必要です。
贈与税の問題に気を取られて、譲渡所得税のことを忘れてしまうことがあります。(関連記事:個人間売買と譲渡所得税)特に親族間売買の売買代金の支払い方法を分割支払いにした場合に、譲渡所得税の問題を受けやすいです。
譲渡所得税は、売買した日の翌年に申告納税を行います。この納税に売買代金の支払方法は考慮されません。つまり、申告納税をする売主は、支払い方法が分割支払いで売買代金の全額を受領していない状況でも、売買代金から計算した納税額を一括して納税する必要があります。結果として売主は、納税する現金をある程度用意しておかないと、納税することが困難になる可能性もあります。
譲渡所得税は、贈与税に隠れて目立ちませんが、分割支払いで親族間売買を行う場合は大きなリスクがありますので、注意が必要です。
親族間売買は、一般的な他人同士の不動産売買に比べると、失敗するケースが多いです。それは、親族間売買自体が特殊な事例であり、専門性が高い分野だからです。
自分だけで何とかしようと考えたり、親族間売買の経験がないところへ依頼することで失敗してしまうことが多いため、できる限り、親族間売買に慣れた相談先を見つけることが成功への近道です。
もし親族間売買について、どこにサポート依頼していいかわからず悩まれているなら、当センターの活用をご検討いただければと思います。
【関連記事】
≫ 親族間売買を行う前の心得
≫ 親族間売買の流れ・スケジュール
≫ 親族間売買はどこに頼むのか
≫ 親族間売買に向いている人って?
≫ 親族間売買は相続発生を想定して検討する
≫ 親族間売買をすることを他の兄弟に言うべきか
≫ 親族間売買の分割払い中に売主か買主が死亡したら
≫ 親族に不動産を売るメリット・デメリット
≫ 親族間売買は住宅ローンが残っていてもできる?
≫ 親族間売買をした人の属性・特徴
≫ 親族間売買をした人の理由・キッカケ
≫ 親族間売買を断念した人
≫ 親族間売買の一般的な相談内容とは
≫ 親族間売買の依頼から完了までの平均的な期間
≫ 親族間売買にかかる平均的な費用・税金
≫ 親族間売買の実務的な契約条項
≫ 親族間売買を当センターへ依頼した理由・感想
≫ 親族間売買をした後に当事者が死亡したケース
≫ 親族間売買の失敗例
≫ 親族間売買で相談が多い親族関係
≫ 親族間売買は融資が通っても金利が高い?
≫ 親族間売買のこれから
親族間での不動産売買は非常に特殊で専門性の高い分野です。不動産取引のプロとされる不動産屋でさえも滅多に経験するようなものではありません。
しかし、親族間での不動産売買に専門特化した当センターでは、毎月何件もの親族間売買を行っておりますので、様々な親族間売買の事例に対応することが可能です。
もしこれから親族間での不動産売買をやりたいとお考えでしたら、是非一度当センターまでご相談ください!
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この記事の監修者 / 司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表司法書士 吉田隼哉
大手不動産会社で勤務後、不動産系3大国家資格である宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理士を取得。司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所を開業し、相続・遺言・個人間売買の三本柱で業務展開。ご依頼者に対しての総合的なサポートを目指す。
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52.個人間売買・親族間売買と不動産鑑定士
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54.個人間売買・親族間売買と税理士
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59.兄弟間売買まとめ
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61.個人間売買は更地がいいか
62.建物滅失登記とは
63.一般的な不動産売却の流れと期間
64.登記済権利証と登記識別情報の違い
65.投資用不動産の個人間売買・親族間売買
66.相続不動産の遺品整理・残置物撤去
67.建物解体工事について
68.土地の分筆と合筆とは
69.空き家の放置で固定資産税が6倍に?!
70.危険負担とは/売買の前後の建物崩壊
71.売買で所有権移転登記をする意味
72.住居表示実施による住所変更登記とは
73.抵当権設定と住宅ローン
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75.親族間での売買と贈与の比較
76.親族間売買と銀行融資(住宅ローン)
77.残金決済とは
78.個人間売買での価格の決め方について
79.親族間売買での価格の決め方について
80.不動産の登記簿謄本の取得方法
81.不動産の登記簿謄本の読み方
82.親族間売買と3000万円の特例
83.認知症の親と親子間売買は可能か
84.法人と代表取締役との不動産売買
85.権利証を紛失した場合の個人間売買
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93.公簿売買とは
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95.不動産会社との3つの媒介契約
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98.地主から借地を購入する
99.遺言に記載した不動産を子供に売却することはできるのか
100.第三者を介さず個人間で不動産を売買する
101.抵当権の抹消をし忘れた不動産の売買
102.当事者が遠方の場合の個人間売買
103.個人間売買の事前準備
104.個人から法人への不動産名義変更の方法
105.共有持分についての親族間売買
106.親子間売買を使った相続税対策
107.自分で親族間売買をする方法
108.親族間売買の3つの方法とは
109.共有状態・権利関係を整える方法として親族間売買
110.ホームインスペクションとは
111.ホームインスペクションの作業風景
112.親族間売買と住宅ローンまとめ
113.売主が引越しまでにやるべきこと
114.収益物件を分割払いで購入し家賃で支払う
115.親族間売買で分割払いの条件の決め方
116.分割払い期間はどれくらいにすべきか
117.分割払いの内容を途中で変更できる?
118.分割払いではいつ所有権移転できる?
119.売買代金を分割払いにしたら税金は?
120.親族間売買で分割払いにする方の特徴
121.売主へ分割払いを提案する方法
122.分割払いに金利を設定すべきか
123.親族間売買と分割払いは相性がいい理由
≫ 親族間売買を行う前の心得
≫ 親族間売買の流れ・スケジュール
≫ 親族間売買はどこに頼むのか?
≫ 親族間売買に向いている人って?
≫ 親族間売買は相続発生を想定して検討する
≫ 親族間売買をすることを他の兄弟に言うべきか?
≫ 親族間売買の分割払い中に売主か買主が死亡したら
≫ 親族に不動産を売るメリット・デメリット
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≫ 親名義の土地を買っておくべき理由
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1.子供が所有する投資用マンションを親が購入
2.兄が所有するマンションを兄から購入したいが手続きがよくわからない
3.隣同士で古屋付きの土地を売買したい
4.賃貸で借りている家を大家から買うことになったので個人で売買したい
5.老後資金を持たない両親のため、親が所有するマンションを購入したい
6.自己所有マンションを売却した代金で姉から戸建て住宅を購入したい
7.相続で義理の兄弟と共有になってしまった実家の持分売買
8.権利証を紛失した実家を親子で売買したい
9.親を住まわせるためにマンションの隣の部屋を買いたい
10.強制執行されそうな実家を購入して両親をそのまま住まわせたい
11.親にマンションを売った代金で新しい自宅を購入したい
12.相続争いになることが予想されるため親名義を次男へ変更しておく
13.遠方の不動産を親子間で売買したい
14.過去に売買したままで名義変更していなかった場合の手続き
15.個人名義の不動産から法人名義に変更する個人間売買
16.相続税対策の一環としての親子間売買
17.親族間での売買だけど、第三者を間に挟みたい
18.親族間売買の支払いを融資や一括払いから、分割払いへ
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23.元夫婦間の不動産売買
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62.遠方の老人ホームまで出張した親族間売買
63.親のマンションを分割払いで購入する親子間売買
64.兄弟3人で共有する土地を親族間売買
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67.同じマンションの知人から購入する個人間売買
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69.空き家のまま放置された家を親族間売買
70.お金のない親から実家を購入する親子間売買
71.地主から借地の土地を買い取る個人間売買
72.海外転勤する兄の家を弟が購入する親族間売買
73.税理士から依頼を受けた親子間売買を解決
74.売れない不動産を子供が購入する親族間売買
75.住宅ローンが残った子供のマンションを親が買う
76.相続した実家をお隣へ売却する個人間売買
77.両親が共有のマンションを子供が購入する親族間売買
78.なるべく早く親の不動産を売却したいご相談
79.近所に住む親族の土地を購入する親族間売買
80.姉から土地持分を買い取る親族間売買
81.海外に住む兄から持分を買い取る親族間売買
82.妻の親から家を購入したい
83.手足が不自由な親族と不動産売買
84.相続税対策としてアパートの親子間売買
85.頭金+分割払いで親族間売買した事例
86.店舗付き住宅の親族間売買
87.投資用アパートを親から分割払いで購入
88.親族で共有する土地を親族間売買で1本化
89.経済状況が困窮した息子の家を親が購入する事例
90.コロナで帰国できない兄弟で不動産売買
91.親が相続で取得した土地を子供が購入する事例
92.親から贈与を受けた資金で親族間売買
93.祖父から孫がマンションを購入する
94.遠方の叔母と親族間売買をした事例
95.売買契約に権利証を忘れてしまった事例
96.結婚する娘のマンションを親が購入する事例
97.自営業者が親族から不動産を分割払いで購入
98.夫婦間で投資用マンションの売買
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